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ルワンダ中央銀行総裁日記

服部正也著『ルワンダ中央銀行総裁日記』を再読する。この名著を最初に読んだのはいつの頃だったろう。私がこれまで読んだ本のうちで最も感銘を受けた本のひとつだ。再読してみて、その感想は変わらない。ルワンダのために真摯に取り組む誠実さと、困難にも粘り強くかつ柔軟に立ち向かう行動力、現地人や外国人に対する偏見や蔑視を持たない人間性にすがすがしさを感じる。通貨改革や経済再建計画の策定をめぐる国際通貨基金やベルギーの銀行などとのやりとりは、なまじの経済小説よりはるかに面白い。旧植民地宗主国の外国人やインド系商人とのやりとりは手に汗握る。ページを繰るのがもどかしいほどだ。1960年代に、日本から遠く離れた外国で、たった独りでその国の発展につくす困難さは、並大抵ではなかっただろう。海外駐在員として、著者と同様6年間仕事をしたが、我が実績を振り返ると穴があったら入りたいほどである。